夢を現実にするために。

世田谷・目黒・渋谷で不動産投資を始めたいという方に、夢を現実にする第一歩として、役立つ情報をまとめたコラムをご用意しました。不動産投資の知識をしっかりと身に付けることで、失敗しないための工夫はいくらでも出来ます。日々変化する投資市場に対応するために、最適な資産運用の方法を常に追い続けましょう。


第21回 -「不動産活用」で相続対策ができる理由-

ラジオ番組21回目のテーマは「教えて蜂谷先生 不動産を用いた相続対策」。2015年の税制改正で相続税の課税領域が拡大し、今や12人に1人の割合で相続税を納める状況になっている。相続対策のやり方は10世帯いれば10通りあり、一概に成功の方程式を示すのは難しい。しかし、相続税が安くなる仕組みをあらかじめ頭に入れておけば、自ずと相続に対する姿勢も変わってくるだろう。株式会社フェイスネットワーク代表取締役社長・蜂谷二郎が解説する。


番組冒頭では、相続税の全体像から話が始まった。ラジオパーソナリティの内田まさみ氏が「相続税ってかなりの金額があると思います。1年でどのくらいの相続税がかかっているものなんでしょう」と素朴な疑問を投げた。

蜂谷によれば、相続税による国の税収は増えており、平成29年度に初めて2兆円を超えた。全国で12人に1人が、東京都に限れば7.5人に1人が相続税を支払っている計算になる。「相続税は、いま関心の高い問題と言える」という。

内田氏は「国にとってはものすごい税収になるのでしょうけど、個人の負担は重いですよね」と問題提起。相続対策に有効な方法は、どんなものがあるのだろうか。

相続対策は幅広い。不動産を活用する手法があれば、生命保険の活用、さらに生前贈与で相続資産を事前に減らしていく手法もある。また一般的に言われる「遺言」も、遺産分割の争いを抑制する意味では立派な相続対策になるだろう。

「不動産」が現預金・株式よりも税圧縮効果が高い理由

不動産は現預金や株式よりも、相続税の圧縮効果が高いと言われている。それはなぜか。相続税の仕組みをおさらいしながら、蜂谷が解説した。

まずは大前提として、相続税の計算は、相続が発生した時点の「資産状況」「負債状況」を確認するところから始まる。だが相続税の課税対象となる「資産」は、現預金だと額面通りの金額が、上場株式なら取引所の株価に保有株式数を掛けた金額が「相続税評価額」となる。

相続税評価額は、高ければ高いほど、実際に課税される相続税も高くなる。逆に、相続税評価額を低く見積もれば、支払う相続税も安くなるという理屈になる。

そういう意味では、現預金・株式を抱えるよりも、不動産を抱えていたほうが、条件によっては相続税評価額がグッと圧縮されやすくなり、相続税の負担が少なくなりやすい。その理由を蜂谷は「不動産の相続税評価額は、実勢価格とかい離しているため」と説明する。

「不動産の評価は、土地・建物の2つに分割して計算されます。土地は『路線価』が評価額になり、建物は『固定資産税評価額』が見られる。これが実際の不動産価格と乖離しています。

例えば、当社がつくっている1棟RCマンション。土地が1億5000万円で、建物も1億5000万円、計3億円の1棟RCマンションを買ったとします。

ところが路線価をみると、(当社の開発エリアの)相続税評価額はおおむね4割。1億5000万円の4割だから、6000万円が土地の金額です。同じように建物の評価額も実勢の4割ほどで、先の土地と同じで、評価額は6000万円ほどになります」

3億円のマンションを買ったのに、相続税評価額は計1億2000万円と半分以下になり、1億8000万円分の圧縮効果が生まれることになる。現金3億円なら評価額がそのまま3億円となってしまう。

同じ資産でも、持ちようによって相続税の支払い額がかなり変わる。そのため、フェイスネットワークでは、相続対策の一環で1棟RCマンションを購入する資産家の例は枚挙にいとまがないという。

内田氏は「相続対策と聞くと、まっさきに『不動産活用』が謳われますが、その理由が納得できるような話ですね」と相槌を打った。

持ち家よりも「投資用不動産」が圧縮に有利

不動産の活用によって相続税が安くなる仕組みが先に示した通りだ。それでは同じ不動産でも「持ち家」「投資用のアパートやマンション」など種類があるが、どれも評価は同じなのか。蜂谷は「投資用だと、+αで『評価減』が適用されるケースがあり、なお相続税が安くなりやすい」と強調する。

少し専門的になるが、平たくいうと、投資用のアパートやマンションを建築して賃貸している不動産には、土地の権利を所有者から借りて運営している状態を指す「借地権」が付いている建物があれば、さらに建物の所有者が第三者に賃貸すると「借家権」という権利も発生する。

こうした不動産を「貸家建付地」と言い、要は借地権・借家権の相当分を見積もって計算すると、実勢価格より安い不動産の相続税評価額が、さらに圧縮されるルールが存在するということだ。

蜂谷は、先の事例に重ねて次のように解説する。

「先の例では、土地の評価額が実勢価格の4割になり、1億5000万円の土地が6000万円で評価されていますよね。ところがその土地の『借地権割合』が7割だとすると、6000万円の評価額が、さらに3割控除されます。建物の『借家権割合』も同様の理屈で、借家権の場合は、大体2割が控除されます」

こうした不動産の評価額が控除される理由は簡単。例えば『借家権』がついていると、その建物は第三者に貸している物件、つまり他人に貸している家なので、正当な理由なく入居者に退去を迫ることはできない。その意味では、不動産という資産の価値が目減りすることになり、同時に相続税評価額も安くなるという理屈が成り立つわけである。

「先ほどの3億円の1棟マンションが、収益用として運用していれば、相続税評価額に換算した価値は実勢価格の2~3割の金額に収まることになります。でも不動産を売却すれば、(資産価値が落ちていなければ)実勢価格そのままの3億円で売却できる可能性があります」

そのため条件によっては、自宅用のマンションよりも、投資用のアパートやマンションのほうが、より相続対策に効果的なのだ。

内田氏は「賃貸できる不動産のほうが、何重にもお得な感じになりますね。これは、ちゃんと知っておかないともったいないですね」と反応した。

不動産の「共同所有」にご用心

相続対策に有利な不動産活用だが、所有のありようによっては争いを生む凶器にもなる。それが、不動産を「共同」で所有している状態だという。蜂谷は「不動産のタブー」と注意喚起している。

なぜか。兄弟、もしくは親族間の複数人で同じ不動産を所有していると、相続で不動産を「継承するか売却するか」といった決断をしないといけないときに、所有者全員の了承を得る必要が出てくるからだ。所有者同士で意見がぶつかり合うと、争いに発展しやすくなり、相続対策そのものが停滞してしまう危機に陥ってしまう。

蜂谷は次のように事例を解説する。

「例えば父親が亡くなり、仲のよい兄弟で同じ不動産を『共有持分』にしたとします。しかし姉妹が成長すれば、いずれご結婚されて、パートナーが出てきます。さらにその間に子どもが生まれて、家族が増えてくると、次第に孫まで不動産の共同所有者に入れられるケースが見られます。

私が扱った中で最も多い例では、一つの不動産を16人が共同で所有していたものがありましたが、その不動産を売却するのに1年2カ月もかかりました。色々な人たちに判子を押してもらえるように、納得のいく相続を提案したのですが、この作業が実に煩雑だったのです」

内田氏は「それぞれが違う生活をしていたりすると、良い結論をだすのが難しくなりますよね」とコメント。蜂谷は「難しいです。人によって『私は現金がほしい』『私は不動産を継承したい』と要望がバラバラになります。兄弟での共有はなるべく避けたほうが無難」とアドバイスした。意見がまとまらずに、疎遠になる兄弟・姉妹も数多く見てきたという。

どうしても共有物件にするのであれば、兄弟よりも意見がぶつかり合わない「親子間」で共有するのが望ましいとのことだ。

買うなら、「流動性の高い不動産」を所有するべし

相続対策として不動産を買う上で、最後に心にとめておきたいことが「買うなら流動性の高い不動産」を選ぶことだという。流動性の高さとは、売るときに買い手がすぐに見つかる、人気のある状態を指す。

売りづらい不人気の投資用アパートやマンションを持つと、相続で「売却して現金に換えたい」と結論が出たとしても、思うように売れなかったり、売れたとしても見込みより安い価格で売却する状況に陥りやすい。

そのため蜂谷は「評価減を大きくとれる物件を購入しようと思っている方もいますが、将来の売却を想定して、いつでも売れるような物件を所有していく必要があると感じています」と強調する。

さらに売りやすさだけでなく、高い金額で売却しようと思うなら、投資用のアパートやマンションを買うときに収益性の高さにも着目していく必要も出てくる。「値段交渉で、当初想定していた相続税評価額よりも安い金額でないと売れないケースも多く見てきました」と警鐘を鳴らした。

内田氏は「(不動産の相続活用は)奥深い問題のような気がしますね」とコメントした。

内田氏が最後にコメントしたように、相続税対策としての不動産活用は、かなり奥の深いテーマだろう。確かに不動産を買えば、相続税評価額が実勢価格よりも安くなるため、単純な相続税計算上は「お得」になる側面もあるだろうが、現預金のように簡単に分割できない特性ある故に、共同所有の状態によっては、兄弟間で予期せぬトラブルを招いてしまうリスクもある。その上、苦労して「売却する」という結論にまとまったとしても、今度は不動産を理想の売却価格で売れなかったり、ひょっとするといつまでも売れない可能性も出てくる。相続対策として不動産を買うときは相続税評価額の圧縮効果だけでなく「兄弟・姉妹間を避ける」「流動性と収益性の高い不動産を購入する」といった点にも目を向けていく必要があるだろう。