夢を現実にするために。

世田谷・目黒・渋谷で不動産投資を始めたいという方に、夢を現実にする第一歩として、役立つ情報をまとめたコラムをご用意しました。不動産投資の知識をしっかりと身に付けることで、失敗しないための工夫はいくらでも出来ます。日々変化する投資市場に対応するために、最適な資産運用の方法を常に追い続けましょう。


第25回-東京五輪と不動産に、相関関係がない理由-

東京五輪開催後、東京の不動産市場はどう変わるのか。今回のテーマは「アフター東京五輪。東京の不動産はどうなる?」。前回に引き続き、株式会社さくら事務所代表取締役会長の長嶋修氏をゲストに招き、解説してもらった。彼はエビデンス重視。「五輪と不動産は関係ない」「東京の不動産価格の下落は限定的」などと、歯切れのよい数々の持論が展開された。


結論から言えば、番組内で一貫して長嶋氏が主張したのは、東京五輪が不動産市場に与える影響は極めて限定的ということだ。天災地変のようなことが起きない限り、現在の市場は基本変わらず、ずっと続いていくという。

なぜか。フェイスネットワーク代表取締役社長の蜂谷二郎と、ラジオパーソナリティの内田まさみ氏が、リスナーの気になりそうな質問を厳選して、長嶋氏に問いかけた。

五輪と不動産の関係は「何もない」

東京五輪の開催が決まった2010年代前半以降、都内の地価は上がっている。しかしそれは、アベノミクスの低金利政策や開発特需によるもの。長嶋氏は「五輪と不動産の関係は、何もないです」と語る。

根拠は過去の五輪開催データ。1964年の東京五輪から前回の五輪まで、不動産価格との関係を長嶋氏自ら、調べてみたことがあるという。調査によれば「経済規模が小さい国や新興国では建設投資による地価上昇が見られたが、逆に経済規模の大きい先進国では、相関関係はみられなかった」という。

長嶋氏の説明は続く。「例えばロンドン五輪のときは、英国政府が、ロンドン五輪が不動産市場に与えた影響はなかった、という風にレポートを出しています。今回の東京五輪も同じようなもの。選手村ができる晴海周辺は多少の影響は考えられるものの、別に五輪を開催したからといって、千葉県のどこかにそれが波及するかというと、そういう話にはならない」

五輪よりも、アベノミクスによる経済動向、そして世界経済の動向を気にしたほうが良いという。そういう意味で「これらの問題は雰囲気だけ」と結論づける。

東京の不動産価格、暴落の心配なし

そうなると次に気になるのは「では、東京の地価は下がらないと捉えていいのか」だ。この疑問を蜂谷が投げかけた。この点についても長嶋氏は「(下がる要素は)ないと思いますね」とバッサリ斬った。

暴落を心配しなくてよい根拠は何か。これは世界の主要都市の不動産市況と比較してみることで、一つの解が浮かんでくるという。以下、長嶋氏の説明。

「世界的に誰もが知っているような先進国で、軒並み不動産価格を下げています。圧倒的なトップは、ロンドンですね。今はブレグジットで昨年1年間で10%超も下がっています。2番手が香港。デモで緊迫した状況下、不動産価格も下げています。米国はトランプ政権で金利を徐々に上げていきましたので、やはり主要都市が軒並み下がってきているんですよ。

そして東京。世界の主要都市のなかで順位づけすると、15〜20位にランクインしています。つまり、価格を上げてきているといっても、株式投資でいう“出遅れ銘柄”のような状況です。世界の不動産市場がガラガラと音を立てて崩れたとしても、もともと上げ幅も限定的なので下げも限定的だろう、と見立てることができます」

そのためメディアで喧伝される「バブル」「暴落」というワードは、長嶋氏にとっては極端に映るという。内田氏は「確かに平成バブルの頃と違って、昨今の上昇は、じわじわ上がっているイメージ。株の世界ではじわじわ上がり続けるマーケットは長続きすると言われていますけど、不動産に関しても同じことが言えるのかもしれません」とコメントした。

確かに、現在の都内の新築マンション価格は高止まりしている。しかし高騰しているとはいえ、供給戸数は「ピークの20年前の半分以下」(長嶋氏)。供給が少ないということは、デベロッパーが好立地を厳選して開発しているためで、価格の安いところでは供給されなくなったと考えられる。価格の高い好立地に開発が集中しているということは、それ自体が価格を押し上げる要因になっている。

蜂谷は「東京の再開発はまだまだこれから」と、東京五輪以降は価格下落どころか、押し上げ要因が残っていることを強調する。東京の再開発案件は約250プロジェクト、大阪で約60、名古屋で約40弱も残っているという。

再開発の観点でみれば、盛り上げるエリアも出てくるだろう。長嶋氏は「例えば渋谷では2027年まで再開発が続きます。大手IT企業が入り、オフィス周辺の開発ニーズが上がれば、当然居住ニーズも上がるでしょう。実際、空室がでても今はすぐに埋まってしまう状況ですね」と持論を展開した。天災地変みたいなことがない限り、現在の状況は基本変わらないと思う、と伝えた。

ただし、全体としては価格は下落傾向に進むとも考えている。長嶋氏は「国内平均では、平成バブルのときの土地資産の総額は2000兆円ありましたが、今は1000兆円と半分程度に落ちています。平均でみたら、全体として下がる方向に進むしかない、という冷静な味方も崩さず持っている。

リモートワーク、自動運転の影響は?

大事なのは、今後の不動産価格を占う上で、見逃してはならないキーワードは何か。今後も居住ニーズは「利便性」「時間」が肝になるという。この利便性を捉える上で、外せなくなってくるキーワードが「リモートワーク」「自動運転」だ。

リモートワークとは、社員が異なる場所にいても、パソコン画面やタブレット画面などを介したテレビ会議システムなどを活用して働ける、新しい概念だ。全員がオフィスにいなくても良くなると、当然人の流れも変わり、不動産市況に影響が及ぶ。

長嶋氏は、リモートワークが推進されるほど、オフィス需要は上がると考える。理由は「バーチャル世界で働ける環境が定着するほど、人と人が対面するリアルな状況に、よい高い価値が置かれるようになる」からだ。その詳細を、次のように説明する。

「働き方改革が成就すれば、週のうち5日間、ずっとそこで仕事しているのが古い話になってしまうでしょう。例えば、5日間のうち3日はメインの会社で働き、もう1日はとある会社の別のプロジェクトを手伝い、最後の1日は別の副業的なことをやっていることになったら、むしろ働く場所がたくさん必要になります。そういう意味でオフィスの需要が減るとは私は思わないですね」

この見解に、蜂谷も同調。「働き方が多面的になってきています。色々な場所で働くという意味では、フリーランス人口も大いに関係してくるでしょう。国内のフリーランス人口は現在1100万人もいるといわれ、およそ日本人の8人に1人がフリーランスということになります」とコメントした。

次に自動運転。よく自動運転が普及すると、駅からの距離や利便性が関係なくなり、都心部の不動産価格の押し下げ要因になるという推論が出てくるが、これに長嶋氏は否定的だ。それは自治体の都合が関係してくる。なぜなら自治体の経営効率上、下水道のインフラ修繕やゴミの清掃などのインフラ・その他サービスは、どうしても中心部が優先され、郊外にいくほど対応が後回しになりがち。その意味でも「やはり利便性は重要視され続けるだろう」と考えている。

内田氏は「テクノロジーがいくら発達しても、インフラにかかわる利便性は、これからも維持され続けるということですね」と応答した。

気にせず「資産価値が落ちにくい不動産」を買うべし

結局、東京五輪以降の不動産は「買い」なのか。蜂谷は「不動産価値が少しずつ落ちていくから、それ以降に購入することが得だと考える人が多いのでは」と予想。内田氏も「どうせ買うんだったら、少しでも安く買いたいと思います」と付け加えた。

それに対して、長嶋氏は「一貫して下がるかというと疑わしい」と持論を述べた。「確かにアベノミクスが始まって以降、不動産価格はものすごい勢いで上昇し、年率2.5%ずつ伸びています。この伸びが現在は鈍化していて、来年はプラスマイナスゼロになるかもしれません。ただしリーマン・ショック級の経済不況や天災地変など特殊な事情がない限りは、今の大都市圏の不動産価格が下がる要素は、今のところ見当たりません」

もし下落するとしたら、それは金利が上昇したときだろうが、「今はマイナス金利が、さらに深堀りされている状況」と今すぐの上昇は考えづらい旨を述べた。確かに5年後や10年後、いつかはマイナス金利が終わる時代が来る可能性はあるとはいえ「そんなこと言っていたら、いつまでも不動産の売買ができなくなってしまいます。基本に立ち返り、価値が落ちにくい不動産を選んで購入するべきです」とアドバイスした。

東京五輪と不動産の関係性については、長らく不動産投資の定番の議論として注目を集めてきた。しかしエビデンス重視の長嶋氏は、2つに相関関係は「ない」とバッサリ。過去の五輪データをみても、とりわけ開催国が先進国の場合、不動産市場に与えた影響はほとんど見られなかったからだ。不動産価格に影響しているのは、アベノミクスによる低金利や再開発特需によるものという。不動産投資や資産運用を上手に進めたいと思う人にとっては、こうした世間の雰囲気に惑わされない冷静な思考力も、成功に欠かせない重要な要素になってくると言えそうだ。歴史をさかのぼり、エビデンスを基に未来を大まかに予測し続けることは、自らの投資脳を鍛える何よりの習慣になるだろう。