COLUMN

2022.10.20 不動産投資

不動産小口化商品の「匿名組合型」とは?

「匿名組合型」の形式を用いた不動産小口化商品では、投資家が事業者と匿名組合契約を結んだ上で、投資家が事業者に出資を行います。事業者は投資家から集めた出資金で収益不動産を取得し、日々の運用・管理を担うとともに、家賃収入を配当として投資家に分配します。

 

匿名組合契約は商法に定められたもので、投資家が事業者に出資し、その見返りに事業収益の分配を受けるという約束事です。「匿名組合型」の不動産小口化商品では、不動産を所有するのは事業者で、個々の投資家の氏名が登記されることはありません。これが「匿名組合」と言われる所以です。物件の運営・管理を事業者に一任しながら、家賃収入の分配を受けられる点は「任意組合型」と共通しています。また、現物ではなく、金銭を出資するという点は、「任意組合型・金銭出資型」と似ています。

 

しかしながら、「匿名組合型」の不動産小口化商品に対する税制上の取扱いは「任意組合型」とは大きく異なっています。投資対象となっている賃貸物件は事業者が所有していることから、投資家が出資しているのは金銭であるため、「任意組合型」のような相続税や贈与税の軽減効果は得られません。

この記事では、「匿名組合型」の特徴を列挙します。

“① 出資形態で優先劣後システムが採用されている”

「任意組合型」は組合員の出資金を元に収益物件を購入しますが、「匿名組合型」の場合は、組合員からの出資に加え、事業者の出資があります。事業者の出資は総額の10~20パーセントで、劣後出資することが通常です。事業者が劣後出資することで、投資家は元本毀損リスクが小さくなり、安心して出資できます。

“② キャピタルゲインがない商品が多い”

投資家は不動産購入資金として出資しているので、キャピタルゲインに期待する方もいるかと思いますが、基本的にはキャピタルゲインはないことが大半です。その代わりに優先劣後システムを導入しているので、物件価格の下落幅が劣後出資者である事業者の出資範囲内であれば、投資金の全額が返ってくることとなります。元本確保を目指した商品設計といえます。

“③ 換金性・流動性は難”

不動産小口化商品には流通市場がないため、流動性は低いといえます。これは任意組合型にもいえることです。事業者によっては、一定の手数料を払って買い取る先もありますが、多くの事業者は販売時に解約不可を謳っています。これは、匿名組合型の多くが、運用期間が1年未満であることにも起因しているようです。

“④ 課税は雑所得”

匿名組合型の不動産小口化商品は、任意組合型に比べ、分配金利回りが高い傾向にあります。ただ、匿名組合型の分配金(インカムゲイン)は、雑所得として計算されます。よって、他で大きな所得がある方の場合は、受け取る分配金が少額であっても思わぬ税金がかかることになり、税引き後の利回りが大きく低下することも念頭にいれてください。

“⑤ 出資金は保証されない”

匿名組合型は優先劣後システムが採用されていることは先に述べた通りですが、投資家は事業者が購入する「不動産」に出資するのではなく、「事業者」に出資しています。登記上も実態も購入した不動産の所有者は「事業者」です。つまり、事業者に万一のことがあった場合、運用中の不動産は出資者に返ってきませんので、投資金のほとんどが返ってこなくなることはあり得ます。

出資する際は、表面利回りばかりに注目するのではなく、事業者の信用状況、運用期間なども考慮し、元本の毀損リスクを考慮した上で、出資先を判断することをお勧めします。

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